CarSim誕生まで
CAE担当時代①-FEM解析ソフト手作りの時代(1973年~)
シリーズでCarSim誕生のいきさつをお話しします。
CarSim誕生には、私の前職が大きくかかわっています。まずは創業前の私の仕事についてお話ししたいと思います。
私は大学卒業後、大手自動車部品会社に就職し、CAE(Computer Aided Engineering)を社内に普及させる部署に配属されました。(CAEとはコンピュータを利用して研究開発を促進するための解析・シミュレーション技術の総称です。)
そこで、コンピュータ上で物理現象を模擬するシミュレーション技術の一つに有限要素法(FEM)という解析手法があることを知り、FORTRAN言語でプログラムを作成しました。有限要素法(FEM)は部品を小さな3角形等の要素で分割し、コンピュータプログラムで部品の強度などを求めるもので、実験の代わりに数値計算で評価するコンピュータ・シミュレーション手法の1つです。当時は、事務計算用のIBM汎用コンピュータを間借りして、100KBという今では考えられないメモリー容量の制限内でプログラムを自作していました。
当時のプログラムでは2次元に近似できる対象しか適用できませんでしたが、自分で作成したプログラムが正しく動いて数百元の連立方程式を解き、ひずみや応力分布の計算結果を出力できた時は、コンピュータのすばらしさに感動しました。