CarSim誕生まで
車両運動担当時代①-車両運動の担当となる(1989年)
今回からCAE担当時期から車両運動担当時期に移ります。
1990年に研究開発子会社に出向となり、車の統合制御研究のための車両運動シミュレーション技術を整備するプロジェクトの担当になりました。当時、制御システムの開発では試作品を実車に搭載してテストコースで評価していましたが、それを実車の代わりにコンピュータ・シミュレーションで評価できるようにして、開発の期間・コストを削減しようというのが私に課せられた役割でした。
その当時、自動車メーカーの間で汎用の機構解析ソフトを使って車両運動モデルを作るのが流行していたので、私もそれにならって機構解析ソフトで車両運動モデルを作ってみました。確かにそれまでのFortranで直接微分方程式を解くプログラムを作るよりはスマートな方法のようでしたが、専任で取り組んでもまともな結果が出るまでにずいぶん時間がかかり、苦労した記憶があります。その後、ABSの制御ロジックを組み込むのにFortranでプログラムを組む必要があり、その仕様書をひもといて何とか制御が効くようになるまでに3カ月以上要したのを覚えています。これでは、設計担当者や評価担当者がすぐに実用的に使えるツールには程遠い感じがして、壁にぶち当たり悩んでいました。
このあと劇的な出会いがありました。続きはまた次回に・・・