CarSim誕生まで
車両運動担当時代② AutoSimとの出会い(1992年)
先回は車両運動シミュレーションの担当となった私が四苦八苦して車両運動モデルを作っていた話でした。 今回はその続き。 いよいよ運命の出会いです。
忘れもしない1992年、横浜で開催された「AVEC `92」(自動車の先進制御に関する国際会議)で「AutoSim」に出会いました。これは当時ミシガン大学交通研究所(UMTRI)の研究員であったMike Sayers(現Mechanical simulation CEO)が開発した、剛体の運動方程式を解くシミュレーションコードを自動生成するソフトで、現在CarSim等車両運動シミュレーションモデルの開発に使われているツール「VehicleSim」の前身にあたります。当時の先進パソコンMacintosh上で、「AutoSim」とそれを利用して作られた3次元の車両運動シミュレーションモデルが動いていました。シミュレーションの結果も、Macの画面上にアニメーションとグラフですぐに見られるようになっていました。 アニメーションの車は木製のおもちゃのような単純な形でしたが、パラメータ入力、シミュレーション計算、アニメーション出力のすべてがMac上で完結して動いていたのには感動しました。
当時のシミュレーションソフトは、スーパーコンピュータやUNIXのワークステーションで動かすのが一般的でしたので、大きな衝撃を受けました。これからは、Macのようなパソコンで設計者が自らシミュレーションを行える時代になると直感しました。
この時の出会いがきっかけとなってその後CarSimと密接なつながりができていきました。まさに「運命の出会い」だったのです。
つづきはまた次回に・・・