CarSim誕生まで
車両運動担当時代③ ミシガン大学との提携(1993年)
前回はAutoSimとの運命の出会いの話でした。 今回はこの出会いによって開発元であるMechanical Simulation社の創設者との関係が密になっていった話です。
展示会場で衝撃を受けた私は、早速AutoSimを導入して、ABS制御ロジックの検討に使える車両運動モデルとそれにABS制御と連動させるツールの開発検討に入りました。ABS制御に使うにはタイヤの非線形特性を入れる必要があり、駆動系の違い(FF、FR、4WD)を入れるためにエンジン駆動系をモデルに加える必要がありました。路面には摩擦係数の変化や勾配、高さ変化を入れる必要があります。また、ABS制御システムと連動させるためにはMac OS上のGUIとFORTRANのソルバーではなく、Windows OS上のGUIとC言語のソルバーにする必要がありました。さらに、当時制御開発に使われ始めたMATLAB/Simulinkの制御モデルとの連動も今後必要になる機能として望まれていました。
それら多くの課題をより早く効率よく解決し開発を促進するために、ミシガン大学交通研究所(UMTRI)のMike Sayersのチームの協力を得るべく開発委託契約を結び、AutoSimを使ったABS制御ロジックの検討に使える車両運動モデルとユーザーインタフェースを新たに開発しました。
次回は制御システムとの連動の話です。