CarSim誕生まで
車両運動担当時代⑤-CarSim誕生!(1998年)
いよいよ「車両運動担当時代」のラスト、CarSimの誕生についてです。
ミシガン大学交通研究所(UMTRI)のMike Sayersらは、私たちとの提携によりAutoSimを使ってABSの制御システム開発に使える車両運動モデルを開発した後、1996年に独立してベンチャー企業Mechanical Simulation社を設立しました。そしてそれまでカスタムモデル開発で蓄積したノウハウを基に車両運動シミュレーションに特化した汎用ソフトの開発に取り組みはじめました。そして誕生したのが、四輪車用車両運動シミュレーションソフトCarSimと、トラック用車両運動シミュレーションソフトTruckSimです。
創業当時のMechanical Simulation社のオフィスとスタッフ
CarSim, TruckSimは技術者にとって本当に使いやすいソフトです。それまで実車試験の代替えを模索するのに悪戦苦闘していた私にとってもまさに夢が実現したソフトの誕生でした。
ABSに留まらず、今後世に出る予防安全のための各種制御システムの開発にもCarSimのような使いやすい車両運動シミュレーションツールが自動車業界全体できっと役に立つと確信しました。
プロジェクト終了後、研究開発子会社から親会社の前部署に戻ることになっていた私でしたが、CarSim誕生に少なからず関わった者としてCarSimを社内のみならず、もっともっと外部に広めたいと思う気持ちが強くなりました。
ありがたいことに当時の上司や家族の理解もあり、1999年に退職し、独立してバーチャルメカニクスを起業しました。
そしてたった一人でCarSim及びTruckSimの日本での販売・サポートを開始しました。
ここまで長い道のりでしたが、CarSim誕生とバーチャルメカニクス創業のいきさつをお話ししました。